ゴールデンウィークの最初の連休の三日目、15時の鹿児島行きの飛行機に乗った。
東京から1時間40分の空路。
飛行機が高度を下げ、曇天の層を抜け、鹿児島空港への最終着陸態勢に入ったその時、
窓の外に、黒く広がる大きな山塊が見えた。
窓の外に、黒く広がる大きな山塊が見えた。
手前に鋭い山。幾層もの黒い山筋が連なり、奥の方は白いもやがかかっている。
黒い山の山頂を覆う水蒸気は、雲なのか霧なのか区別付け難く混ざり合っている。
それが、霧島との最初の出会いだった。
鹿児島空港から高速バスで都城へ。
霧島連山の北側の麓をぐるっと時計回りに西側へ周り、一時間半で都城に着く。
照葉樹林帯に位置する南九州の森はシイやカシが開花期を迎え、竹の新緑が揺れている。
それらはゴールデンパウダーを振りかけたように山々を彩っている。
関東では見られない風景だ。
バスは霧島連山に近づいたり離れたりするが、上の方は雲に隠れており、
なかなかその全貌のスケールが掴めなない。
連山の裾ののスカートは大きくなだらかに広がっており、ふくよかで豊かな感じがする。
その広がりにまず感動した。
都城の駅前のホテルにチェックインし、撮影スタッフとのミーティングを宿泊ルームで行う。
今回は”ジオガール”というテーマでネイチャー・ファッションを撮影する。
霧島は火山が地質学的に貴重で、自然・文化遺産として「日本ジオパーク」に認定されている。
霧島ジオのランドスケープと融合したモデルを撮影しようという試みで、
女性像として”クマソの女”という設定についてスタッフと話した。
「クマソ」は古事記、日本書紀に「熊襲」「熊曾」として登場する、南九州の部族。
彼らは天皇を中心とする政権・大和朝廷から見ると日本の先住民族で、
制圧され滅ぼされた古代の部族だ。
この「クマソ」という存在が気になった。
その後、鹿児島を中心とする南九州では「隼人」と呼ばれる部族が歴史に登場し、
そこから出た島津家は、独自の勢力を時の中央政権に常に保ち、
ついには日本を変える原動力となり、明治維新を起こし、現在の日本がある。
そんな歴史と、もうひとつ、古事記に登場する「天孫降臨」の神話がある。
ニニギノミコトが高千穂に降臨したという話だが、霧島連山の中の高千穂岳がその地とされている。
古事記では、ニニギノミコトはアマテラスオオミカミの孫にあたり、その後の天皇家の祖先となる。
高千穂岳の頂上には「天の先鉾」が突き刺さっており、坂本竜馬が引きぬいたエピソードがある。
先史時代に神が天降った場所としては、霧島の火山は神が降りるヒモロギのような形をしており、
リアリティを感じるものがある。
リアリティを感じるものがある。
天から降りたった天津神に対して、霧島と高千穂は国土を司る国津神が生きる神域であり、
その地の先住部族の「クマソ」は土地の象徴なのではないかと思った。
天から突き刺さる鉾に対して、受け止める霧島全体の山々のゆったりと広がる裾野は、
まるで皿のようだ。
その大地に生きるクマソの女は神を受け入れるシャーマンのような存在なのだろうか?
その大地に生きるクマソの女は神を受け入れるシャーマンのような存在なのだろうか?
そんな話題で夜が更けた。
0 件のコメント:
コメントを投稿