2012/12/03

環境社会学会/「フクシマ」論と「コミュニティ復興」論を超えて


第46回環境社会学会大会に出席してきました。

立教大関礼子さんの発表『「フクシマ」論と「コミュニティ復興」論を超えて。「生成する復興」論への試論』が大変、興味深い。
福島原発事故を「フクシマ」として表象化する議論の有効性と陥穽。外部へ向けて表象化された「フクシマ」は、国際社会に訴える、国の施策を担保させるなどのメリットの反面、原発事故の影響を福島県内に押し込める役割を果たし、結果、県外者に自分とは関係ないと思わせる言説として機能する。それは、福島県内の多様な矛盾を引き受けるのでなく、意識的、無意識的に捨象させる。
楢葉町の住民意識調査結果で、計画区域解除がなされたにもかかわらず「帰町したい」と考える住民が一年前の調査に比べて70%から37%へ減少。コミュニティの復興、「戻りたい」という言説より、コミュニティを「離れる」言説、分散していく中でゆるやかにつながりを保つような言説のほうが現実に沿った優しい復興なのでないかという指摘。それは沖縄出身者の全国の「共有会」のようなモデルなのではないか。鋭い指摘だと思う。

環境社会学会第46回大会プログラム:
http://www.jaes.jp/seminar_a/2012/2663

0 件のコメント:

コメントを投稿